マツダCX-8は、3列シートを備えた大型SUVとして多くのファミリーに愛されてきました。しかし、その大きなボディサイズや維持費の高さから、購入後に「思っていたのと違った」と感じる方も少なくありません。
この記事では、CX-8の購入を検討している方が後悔しないために、事前に確認しておきたい重要なポイントを詳しく解説します。実際のサイズ感から運転のしやすさ、年間の維持費まで、購入前に知っておくべき情報をお伝えします。
特に、日本の道路事情に合うかどうかの判断や、ミニバンとの違い、そして長期的な費用面での検討材料を提供します。CX-8があなたのライフスタイルに本当に合うのか、一緒に確認していきましょう。
CX-8を検討する前に知っておきたい基本情報
CX-8ってどんな車?ミニバンの代わりになるSUV
CX-8は、マツダが2017年に発売した3列シートSUVです。従来のミニバンに代わる選択肢として開発され、6人または7人が乗車できる設計になっています。最大の特徴は、SUVらしいスタイリッシュな外観を保ちながら、実用的な室内空間を確保している点です。
マツダ独自の「魂動デザイン」を採用し、堂々とした風格を持ちながらもスマートな印象を与えます。一般的な大型SUVと比べて、フロントガラスがクーペのように斜めになっており、縦に短いサイドのグラスエリアがスタイリッシュさを演出しています。
他の3列シートSUVとの違い
CX-8は日本専売車として開発されており、日本の道路事情を考慮したサイズ設定が特徴です。全長4925mmという大きさは、日本で使えるギリギリのサイズとして設計されています。
他の3列シートSUVと比較すると、CX-8は「上質かつ洗練されたデザイン」「街乗りから高速走行まで余裕のある走り」「3列目を含むすべての乗員が楽しめる快適性と静粛性」を特長としています。特に静粛性の高さは、高級車並みの品質を実現しており、長距離ドライブでも疲れにくい設計となっています。
新車販売終了後の中古車市場での位置づけ
CX-8は現在、新車のオーダーストップ状態となっており、中古車市場での流通が主となっています。2025年4月時点で、全国に約1900台の中古車が流通しており、平均価格は268.2万円という比較的お手頃な水準です。
中古車市場では、ディーゼルターボエンジン搭載車が約8割を占めており、2WDが約67%、4WDが約33%の割合となっています。ここ3年間の平均価格は280万円から320万円のゾーンで推移していましたが、直近では下落傾向にあり、購入しやすい価格帯になってきています。
CX-8のサイズ感は本当に日本の道路に合うのか
実際の車体サイズと数字だけでは分からない取り回し
CX-8の車体寸法は、全長4925mm、全幅1845mm、全高1730mmとなっています。特に注目すべきは全幅1845mmで、日本の道路で理想的とされる1800mm以下を上回っています。これは駐車場でのドアの開閉や、狭い道でのすれ違いに影響する可能性があります。
しかし、実際のユーザーからは「最初は大柄な車体に戸惑うかと思ったが、すぐに慣れた。細い道でも何の問題もない」という評価が寄せられています。これは、CX-8がサイズを感じさせない運転のしやすさを実現しているためです。
駐車場での使い勝手と注意点
CX-8を日常的に使用する上で最も気になるのが駐車場での取り回しです。全幅1845mmという寸法は、一般的な駐車場の幅2.5mに対してやや余裕が少なくなります。特に立体駐車場や機械式駐車場では、事前にサイズ制限を確認する必要があります。
ただし、CX-8には全車標準装備として360°ビュー・モニターが搭載されており、駐車時の安全確認をサポートしてくれます。また、10.25インチまたは8.8インチの大型センターディスプレイにより、駐車支援機能も充実しています。
CX-5との大きさ比較で見えてくる違い
同じマツダのCX-5と比較すると、CX-8は全長が長い一方で、全幅と全高が小さくなっています。この設計により、3列シートを確保しながらも、できるだけコンパクトな印象を保っています。
CX-5からCX-8への乗り換えを検討している方にとって、最も大きな変化は全長の違いです。約200mmの差は、車庫入れや縦列駐車の際に実感することになります。しかし、ホイールベース2930mmの長さが高速道路での安定性に大きく貢献しており、荒れた路面のいなし方も優秀だと評価されています。
室内空間の広さと3列目シートの実用性
大人が座れる3列目シートの現実
CX-8の3列目シートは、多くの3列シートSUVとは異なり、大人でも実用的に使える設計となっています。内装寸法は長さ2690mm、幅1540mm、高さ1250mmを確保しており、補助的な3列目シートではなく、本格的に6人または7人が快適に乗車できるように設計されています。
実際の試乗レポートでは「3列目の快適性が試乗のポイントになる」とされており、スタイリッシュな外観からは想像できないほど、しっかりとした室内空間が確保されています。ただし、長時間の乗車や大人の男性が座る場合は、2列目シートの位置調整が必要になることもあります。
荷物の積載能力と使い勝手
CX-8の荷室容量は、定員乗車時で239L、3列目格納時で572Lとなっています。定員乗車時でも9インチのゴルフバッグ2個またはベビーカー1台を積載できる容量が確保されており、日常使いには十分な実用性があります。
特に注目すべきは、フロア下サブトランクの存在です。奥行きが深く、開口部が広いため使い勝手は抜群で、普段使わない荷物の収納に重宝します。3列目シートを格納すれば、縦にゴルフバッグ4本を積むことも可能ですが、その際は2列目シートを少し前にする必要があります。
ミニバンと比べた時の室内の違い
CX-8をミニバンと比較した場合、最も大きな違いは室内高です。ミニバンのような立って歩けるほどの室内高はありませんが、その分、重心が低く安定した走行性能を実現しています。
また、CX-8は「ミニバンのようなSUV」として位置づけられており、SUVらしいスタイリッシュな外観を保ちながら、ミニバンに近い実用性を提供しています。乗り降りの際は、ミニバンのようなスライドドアではなく、通常のヒンジドアとなるため、狭い駐車場では注意が必要です。
CX-8の乗り味と運転のしやすさ
高級車並みの静粛性と乗り心地の秘密
CX-8の最も評価されている点の一つが、その静粛性の高さです。試乗レポートでは「車内の静粛性に驚いた」「高級車のような静かさを感じる」という評価が多く見られます。これは、CX-5より遮音材が多く使用され、最適化が行われているためです。
乗り心地についても「高級車並み」という評価を受けており、マツダ車らしくない大らかな乗り心地を実現しています。ゆったりとした乗り味は、反応の速い足回りが多いマツダ車の中にあって異質で、高速でもフラットかつ大らかな乗り心地で、揺れの収束も良好です。
2トン近い車体でも運転しやすい理由
CX-8の車両重量は1710kgから1910kgと、2トン近い重量がありますが、運転のしやすさは高く評価されています。これは、マツダ独自の「G-ベクタリングコントロールプラス(GVCプラス)」が装備されているためです。
この技術により、ハンドル操作に応じてエンジンの駆動トルクを制御し、車の安定性を向上させています。また、ステアリングは切っただけ曲がり、手応えも良く、あまり振り回す類の車ではないものの、十分な運動性能も持っています。
長距離ドライブでの疲労感
CX-8は長距離ドライブでの快適性に優れており、「遠出に向いている」という評価を受けています。高速道路の安定性は抜群で、ホイールベースの長さが効いており、荒れた路面のいなし方も良好です。
遮音性が高く、ロードノイズが少ないことも特筆に値し、長時間の運転でも疲労感が少ないのが特徴です。ただし、強めのブレーキをかけてもノーズダイブをほとんど感じないなど、マツダらしい運動性能も維持されています。
CX-8の年間維持費を詳しく計算
ガソリン車とディーゼル車の燃料費の差
CX-8の年間維持費を考える上で、最も大きな要素となるのが燃料費です。ガソリン車とディーゼル車では、年間で約11万円もの差が生じます。ガソリン車の場合、年間燃料代は約22万円、ディーゼル車の場合は約11万円となっています。
実燃費を比較すると、ディーゼル車が13.6km/L、ガソリン車が10.3km/Lとなっており、燃費の差は約3km/Lです。さらに、軽油の価格がレギュラーガソリンより安いことも、ディーゼル車の経済性を高めています。
自動車税・保険・メンテナンス費用の内訳
CX-8の年間維持費の内訳は以下のようになります。
項目 | 金額 |
---|---|
自動車税 | 43,500円 |
任意保険 | 80,000円 |
メンテナンス代 | 60,000円 |
駐車場代 | 96,000円 |
自動車税は、CX-8の排気量が2500cc以下のため、年間45,000円となります。ただし、エコカー減税対象車のため、購入時期によっては翌年の自動車税が軽減される場合があります。
他の3列シートSUVとの維持費比較
CX-8の年間維持費は、ガソリン車で約50万円、ディーゼル車で約39万円となります。他の3列シートSUVと比較すると、ディーゼル車の場合は比較的経済的な部類に入ります。
特に、ディーゼル車とガソリン車の価格差30万円程度を燃費で埋めるには、約6.77万キロの走行距離が必要となります。年間1万キロ走行する一般的なユーザーの場合、約7年間乗り続ければペイできる計算になります。
CX-8を買って後悔する人の特徴
こんな使い方をする人には向かない
CX-8で後悔しやすいのは、主に街乗りメインで使用する方です。大きな車体サイズに対して、近所の買い物程度の使用では、その魅力を十分に活かすことができません。また、燃費を重視する方にとって、ガソリン車の実燃費約12km/Lは物足りなく感じる可能性があります。
さらに、頻繁に狭い道を通る必要がある方や、機械式駐車場を利用する方にとっては、全幅1845mmというサイズがストレスになることがあります。立体駐車場の高さ制限も、全高1730mmのCX-8では制約を受ける場合があります。
サイズ感で失敗しやすいパターン
最も多い失敗パターンは、実際に駐車場で使ってみて初めてサイズの大きさを実感するケースです。カタログ上の数値だけでは分からない、実際の取り回しの大変さに後悔する方が少なくありません。
特に、自宅の駐車場が狭い場合や、よく利用する商業施設の駐車場が古い設計の場合、日常的にストレスを感じることになります。購入前には、必ず実際に使用する駐車場でのサイズ確認が重要です。
維持費で想定外の出費になるケース
維持費で後悔するパターンとして多いのは、ガソリン車を選択した場合の燃料費の高さです。年間2万キロ以上走行する方の場合、ガソリン車とディーゼル車の燃料費の差は年間10万円以上になることもあります。
また、高級車並みの装備を持つCX-8は、メンテナンス費用も相応にかかります。特に、電装系の不具合や、高級な内装材の修理費用は想定以上に高額になる場合があります。
CX-8購入前にチェックしたい試乗ポイント
試乗で確認すべき運転感覚
CX-8の試乗では、まず市街地での取り回しを重点的にチェックしましょう。全幅1845mmという車幅を実際に体感し、狭い道でのすれ違いや、駐車場での操作感を確認することが重要です。
高速道路での試乗も可能であれば行いたいところです。ホイールベース2930mmの長さによる安定性や、静粛性の高さは、実際に体験してみないと分からない魅力の一つです。また、ディーゼル車とガソリン車の両方を試乗し、加速感や静粛性の違いを比較することをおすすめします。
家族全員で乗って確かめたいこと
3列シートSUVとして購入を検討している場合、家族全員で試乗することが重要です。特に3列目シートの快適性は、実際に座ってみないと分からない部分が多くあります。
2列目シートから3列目への移動のしやすさや、3列目に座った時の頭上空間、足元空間を実際に確認しましょう。また、3列目使用時の荷室容量も、実際の荷物を想定して確認することが大切です。
駐車場での取り回しテスト
試乗の際は、必ず駐車場での取り回しテストを行いましょう。特に、普段利用する駐車場と同程度の広さでの操作感を確認することが重要です。360°ビュー・モニターの使い勝手や、バックカメラの見やすさもチェックポイントです。
縦列駐車や車庫入れなど、実際の使用場面を想定した操作を試してみることで、購入後の後悔を防ぐことができます。また、ドアの開閉に必要なスペースも、隣の車との距離を考慮して確認しておきましょう。
CX-8の中古車選びで注意したいポイント
狙い目のグレードと避けたい仕様
中古車市場でおすすめなのは、総額180万円前後のXDプロアクティブです。このグレードは2.2Lディーゼルターボエンジンを搭載し、パワーシートやシートヒーター、ステアリングヒーターなどの装備が標準装備されており、コストパフォーマンスに優れています。
一方、避けたい仕様として、25S Lパッケージの1年落ち車両があります。残価率が58%まで下落しており、リセールバリューを考慮すると不利な選択となります。ディーゼル車の流通量が約8割を占めているため、ガソリン車を希望する場合は選択肢が限られることも注意点です。
走行距離と年式のバランス
CX-8の中古車選びでは、走行距離と年式のバランスが重要です。年式別の買取参考相場を見ると、2019年式(6年落ち)で100.4万円から526.6万円、2022年式(3年落ち)で141.8万円から585.1万円となっています。
走行距離については、5万km前後の物件が狙い目とされており、この程度の走行距離であれば、まだまだ長期間の使用が期待できます。ただし、CX-8は高速道路での使用に適した車のため、高速道路中心の走行履歴がある車両は、走行距離が多くても状態が良い場合があります。
修復歴や事故歴の見分け方
中古車購入で最も注意すべきは修復歴の有無です。修復歴のある車両は、見た目は綺麗でも内部構造に歪みが残っている可能性があり、走行性能や安全性に影響を与えることがあります。
CX-8で特に注意が必要なのは電装系の状態です。高級車並みの装備を持つCX-8は、電装系の不具合が修理費用の高騰につながる可能性があります。購入前には、車両の履歴書や専門店での診断を通じて詳細を確認することが重要です。
まとめ:CX-8で後悔しないための最終チェックリスト
CX-8は魅力的な3列シートSUVですが、購入前の十分な検討が後悔を防ぐ鍵となります。まず、全幅1845mmという車体サイズが日常使用する駐車場に適しているか、実際に確認することが最重要です。
維持費については、ディーゼル車とガソリン車で年間約11万円の差があることを理解し、年間走行距離と照らし合わせて選択しましょう。試乗では家族全員で乗車し、特に3列目シートの実用性を確認することが大切です。
中古車を検討する場合は、XDプロアクティブの5万km前後の物件が狙い目です。修復歴や電装系の状態チェックを怠らず、信頼できる販売店での購入をおすすめします。これらのポイントを押さえることで、CX-8との長いお付き合いを楽しむことができるでしょう。