レンジローバーの購入を検討しているけれど、「壊れやすい」という噂が気になっていませんか。確かに、レンジローバーには電装系のトラブルや部品供給の遅れといった課題があります。しかし、これらの問題を理解して適切な対策を取れば、長く愛車として楽しむことができるのも事実です。
この記事では、レンジローバーの故障の実態から具体的な対策まで、購入前に知っておきたい情報を詳しく解説します。高級車ならではの魅力と現実的な課題の両方を知ることで、後悔のない選択ができるでしょう。
レンジローバーは本当に壊れやすいのか?データで見る故障率
他の高級車と比べた故障の頻度
レンジローバーの故障率は、同じ価格帯の他の高級車と比べて確実に高い傾向にあります。なぜこのような状況になっているのでしょうか。
最も大きな要因は、レンジローバーが搭載している先進的な電子システムの複雑さです。多くの機能を電子制御で管理しているため、一つの部品が故障すると連鎖的に他の機能にも影響が出やすくなっています。
イギリス車特有の弱点とは
イギリスで設計されたレンジローバーには、日本の環境に適応しきれない部分があります。日本の高温多湿な気候は、電子部品の劣化や接点の腐食を引き起こしやすいのです。
特に夏場の都市部では、信号でのストップ&ゴーが多く、大排気量エンジンを搭載したレンジローバーには過酷な環境となります。これが熱によるパッキンやガスケットの劣化を早める原因になっています。
新車でも起こる突然のトラブル
驚くことに、レンジローバーは新車であってもトラブルが発生することがあります。電装系の不具合は予防が難しく、突然発生するケースが多いのが特徴です。
新車購入後1年以内でも、ナビやモニターが映らなくなったり、パワーウィンドウが途中で止まったりする事例が報告されています。これらは製造時の個体差や初期不良が原因となることもあります。
レンジローバーの電装系トラブルが多い理由
複雑な電子システムが引き起こす問題
現代のレンジローバーは、まるでコンピューターのような複雑な電子システムで動いています。なぜこれほど複雑になったのでしょうか。
快適性や安全性を追求した結果、エンジン管理からインフォテインメント、エアサスペンションまで、あらゆる機能が電子制御されるようになりました。しかし、この高度なシステムが故障の原因にもなっているのです。
エンジン管理システムの不具合
エンジンの動作を制御するコンピューターに問題が発生すると、エンジン警告灯が点灯し、最悪の場合は走行不能になることもあります。古いソフトウェアが原因となることも多く、ディーラーでのアップデートが必要になります。
インフォテインメントシステムのフリーズ
ナビゲーションやオーディオシステムが突然フリーズして操作できなくなる事例が頻繁に報告されています。リアカメラが機能しなくなったり、エアコンが反応しなくなったりすることもあります。
警告灯が頻繁に点灯する原因
ABS警告灯やエンジン警告灯、助手席エアバッグ警告灯などが頻繁に点灯するのもレンジローバーの特徴です。センサーの故障やバッテリーの電力不足が原因となることが多いです。
実際に多い電装系の故障事例
レンジローバーオーナーから実際に報告されている故障事例を見てみましょう。これらの事例を知っておくことで、万が一の時に慌てずに対処できます。
ナビやモニターが映らなくなる
インフォテインメントシステムの画面が突然真っ黒になったり、タッチ操作に反応しなくなったりする事例が多数報告されています。システムの再起動で一時的に回復することもありますが、根本的な修理が必要になることが多いです。
パワーウィンドウが途中で止まる
窓の開閉中に突然止まってしまい、手動でも動かせなくなる故障です。モーターの故障やスイッチの不具合が原因となることが多く、修理には数万円の費用がかかります。
電動テールゲートが開かない
センサーやモーターの異常で、テールゲートが途中で止まったり、全く開かなくなったりするトラブルです。荷物の出し入れができなくなるため、日常生活に大きな支障をきたします。
シフト操作ができなくなる
電子式シフトノブが反応せず、パーキングから動かせなくなる深刻な故障です。この場合、車を動かすことができなくなるため、レッカー車での対応が必要になります。
電装系トラブルの修理費用はどのくらい?
電装系の修理費用は、故障の内容によって大きく異なりますが、一般的に高額になる傾向があります。なぜこれほど高額になるのでしょうか。
レンジローバーの電装部品は特殊で高価なものが多く、さらに診断や修理に専門的な知識と設備が必要だからです。ディーラーでの修理となると、工賃も含めて相当な金額になることを覚悟しなければなりません。
イグニッションキーの修理で100万円超え
3代目レンジローバーで発生するイグニッションキーが回らなくなる不具合は、ディーラーで修理すると100万円を超える高額修理となります。この故障は予期できないため、多くのオーナーが驚くことになります。
エアコンやオルタネーターの修理代
エアコンのコンプレッサー故障では20万円から30万円、オルタネーターの交換では15万円から25万円程度の費用がかかります。ただし、現在は割安に直せる方法も確立されているため、専門店に相談することをおすすめします。
部品供給の遅さが深刻な問題になっている
英国で5000台が修理待ちの現状
レンジローバーの部品供給問題は、世界的に深刻な状況となっています。なぜこのような事態になっているのでしょうか。
新型コロナウイルスの影響による半導体不足と、物流システムの混乱が主な原因です。さらに、ランドローバー社の新設物流センターでのトラブルも重なり、部品供給が大幅に遅れています。
新設物流センターでのトラブル
ランドローバー社が新しく設置した物流センターでシステムトラブルが発生し、部品の出荷が大幅に遅れる事態となりました。このトラブルにより、世界中のディーラーで部品不足が発生しています。
部品が届くまで40日かかることも
通常であれば1週間程度で入手できる部品が、現在は40日以上かかるケースも珍しくありません。特に電装系の部品や特殊な機械部品の供給が滞っており、修理期間の長期化を招いています。
日本でも起こる部品不足の影響
日本国内でも部品不足の影響は深刻で、多くのディーラーが対応に苦慮しています。お客様への影響も避けられない状況となっています。
修理のために部品を注文しても、いつ入荷するかわからない状態が続いています。そのため、修理期間が数ヶ月に及ぶケースも発生しており、オーナーの不満が高まっています。
代車も保管場所も足りない状況
長期間の修理により代車の需要が急増し、ディーラーでも代車不足が深刻な問題となっています。また、修理待ちの車両を保管する場所も不足しており、ディーラーの経営を圧迫しています。
中古部品での対応を余儀なくされるケース
新品部品の入手が困難なため、中古部品やリビルト部品での対応を余儀なくされることもあります。品質や保証の面で不安が残るものの、現実的な選択肢として検討せざるを得ない状況です。
部品供給の遅れで車を手放すオーナーも
部品供給の遅れが原因で、愛車を手放すことを決断するオーナーも出てきています。長期間車を使えない状況に耐えられず、他のメーカーの車に乗り換える人も少なくありません。
特に仕事で車を使う必要がある人にとって、数ヶ月間車が使えない状況は死活問題です。このような状況を避けるためには、購入前に部品供給の現状を十分に理解しておくことが重要です。
エアサスペンションなど機械系の故障も要注意
エアサスペンションの故障パターン
レンジローバーの代名詞ともいえるエアサスペンションですが、故障が多い部位でもあります。なぜエアサスペンションは故障しやすいのでしょうか。
エアサスペンションは空気圧で車高を調整する複雑なシステムで、多くの部品が組み合わさって動作しています。そのため、一つの部品が故障すると全体の機能に影響が出やすいのです。
ゴム部品の劣化による漏れ
エアサスペンションで最も多い故障は、ゴム製のベローズ(空気袋)の劣化による空気漏れです。ゴム部品は経年劣化により硬化し、ひび割れが発生して空気が漏れるようになります。
経年劣化で起こりやすい時期
エアサスペンションの故障は、車齢7年から10年頃に多く発生します。特に2006年から2008年に製造された3代目レンジローバーでは、コンプレッサーのマフラー詰まりという特有の不具合も報告されています。
エンジン関連のトラブル
レンジローバーのエンジンは高性能である一方、日本の環境では負担がかかりやすく、トラブルも発生しやすくなっています。どのような対策が必要でしょうか。
大排気量エンジンは熱の発生量も多く、冷却系統への負担が大きくなります。特に渋滞の多い都市部では、オーバーヒートのリスクが高まります。
オーバーヒートの原因と対策
ラジエーターの詰まりやウォーターポンプの故障が主な原因となります。定期的な冷却水の交換と、ラジエーターの清掃が予防策として効果的です。
ガスケット類の交換時期
エンジンの密封を保つガスケット類は、熱による劣化が避けられません。走行距離10万キロを目安に、主要なガスケットの点検と交換を検討することをおすすめします。
その他の機械系故障事例
電装系以外にも、機械系の故障で注意すべき点があります。これらの故障は予防メンテナンスである程度防ぐことができます。
ステアリング系統の不具合
パワーステアリングポンプの故障やステアリングラックの不具合により、ハンドル操作が重くなったり異音が発生したりします。定期的なパワーステアリングフルードの交換が予防につながります。
雨漏りやドアの閉まり不良
ドアシールの劣化や組み付け不良により、雨漏りやドアの閉まりにくさが発生することがあります。特に日本の梅雨時期には、車内への浸水が深刻な問題となる場合があります。
走行距離10万キロが大きな分かれ目
10万キロを超えると注意すべき部位
レンジローバーにとって走行距離10万キロは、大きな節目となります。なぜこの時期が重要なのでしょうか。
多くの主要部品が設計上の耐用年数に近づき、故障のリスクが急激に高まるからです。特に高温多湿な日本の環境では、設計時の想定よりも早く劣化が進むことがあります。
トランスミッションの状態
10万キロを超えると、トランスミッションの不具合が顕著に現れ始めます。ギアシフト時の震えや、ギアの噛み合いの遅れなどの症状が出てきます。
エンジン本体の劣化サイン
エンジンオイルの消費量増加や、始動時の異音などが現れ始めます。これらのサインを見逃すと、大きな故障につながる可能性があります。
中古車購入時の注意点
10万キロを超えた中古のレンジローバーを購入する場合、特に慎重な検討が必要です。どのような点に注意すべきでしょうか。
まず、メンテナンス履歴の確認が最も重要です。定期的にメンテナンスが行われていない車両は、購入後すぐに高額な修理が必要になる可能性があります。
購入前の徹底的な点検が必須
専門店での詳細な点検を受けることを強くおすすめします。エンジン、トランスミッション、エアサスペンション、電装系など、すべての主要部位の状態を確認してもらいましょう。
修理費用の予算確保が重要
10万キロ超えの車両では、年間50万円から100万円程度の修理費用を想定しておく必要があります。この予算を確保できない場合は、購入を見送ることも検討すべきです。
レンジローバーを長く乗るための対策
定期メンテナンスの重要性
レンジローバーを長く愛用するためには、定期メンテナンスが何より重要です。なぜ他の車種以上にメンテナンスが重要なのでしょうか。
複雑なシステムを持つレンジローバーでは、小さな不具合が大きな故障につながりやすいからです。早期発見・早期対処により、修理費用を大幅に抑えることができます。
メーカー推奨より前倒しで点検
日本の厳しい環境を考慮し、メーカー推奨の点検間隔よりも短いサイクルでの点検をおすすめします。オイル交換は5,000キロごと、その他の点検も半年に1回は実施したいところです。
5万キロごとの大規模点検
走行距離5万キロごとに、主要部品の総合的な点検を行うことをおすすめします。エンジン、トランスミッション、エアサスペンション、電装系など、すべての系統を詳しくチェックしてもらいましょう。
少しでも異常を感じたら即座に点検
異音、振動、警告灯の点灯など、少しでも異常を感じたら即座に点検を受けることが大切です。「まだ大丈夫だろう」という判断が、後に高額な修理費用につながることがあります。
信頼できる整備工場の見つけ方
レンジローバーの整備には専門的な知識と設備が必要です。どのような整備工場を選べばよいのでしょうか。
レンジローバーの構造や特性を熟知した整備士がいる工場を選ぶことが重要です。一般的な整備工場では対応できない場合もあるため、事前の確認が必要です。
レンジローバー専門店の選び方
レンジローバーを専門に扱う整備工場では、豊富な経験と専用の診断機器を持っています。インターネットの口コミや、他のオーナーからの紹介を参考に選ぶとよいでしょう。
純正部品を使ってくれる工場
修理には純正部品の使用が基本です。コストを抑えるために社外品を勧める工場もありますが、長期的な信頼性を考えると純正部品がおすすめです。
長期的な関係を築ける相手探し
車の状態を継続的に把握してくれる整備工場との長期的な関係が重要です。定期的に同じ工場で点検を受けることで、微細な変化も見逃さずに対応してもらえます。
万が一に備えた準備
レンジローバーオーナーには、万が一のトラブルに備えた準備が欠かせません。どのような準備をしておけばよいでしょうか。
突然の故障で車が動かなくなる可能性を考慮し、複数の対策を用意しておくことが重要です。事前の準備があれば、トラブル時も冷静に対処できます。
ロードサービスへの加入
電装系の故障は予期できないため、24時間対応のロードサービスへの加入は必須です。JAFや保険会社のロードサービスなど、複数の選択肢を検討しましょう。
修理費用の積み立て
年間50万円から100万円程度の修理費用を想定し、専用の積立を行うことをおすすめします。急な出費に備えることで、精神的な負担も軽減されます。
代車の確保方法
長期間の修理に備え、代車を確保する方法を事前に検討しておきましょう。レンタカーやカーシェアリングの登録、知人からの借用など、複数の選択肢を用意しておくと安心です。
購入前に知っておきたい維持費の現実
年間維持費の目安
レンジローバーの年間維持費は、一般的な国産車と比べて非常に高額になります。具体的にはどの程度の費用を覚悟すべきでしょうか。
年間で最低でも80万円、トラブルが発生すれば150万円を超えることも珍しくありません。これは国産の高級SUVと比較しても1.5倍から2倍の維持費となります。
費用項目 | 年間費用(円) |
---|---|
自動車税・重量税 | 80,000〜120,000 |
自動車保険 | 150,000〜250,000 |
定期点検・メンテナンス | 150,000〜300,000 |
燃料費 | 200,000〜350,000 |
消耗品交換 | 100,000〜150,000 |
予期せぬ修理費 | 100,000〜300,000 |
定期メンテナンス費用
ディーラーでの定期点検は年間15万円から30万円程度かかります。専門店を利用することで30%から40%のコスト削減が可能ですが、それでも年間10万円から20万円は必要です。
突発的な修理費用
電装系の故障や機械系のトラブルにより、予期せぬ修理費用が発生します。年間で0円から100万円と幅が大きく、予算の確保が重要です。
部品代の高さ
レンジローバーの部品は輸入品のため、国産車と比べて2倍から3倍の価格となることが多いです。小さな部品でも数万円することがあり、維持費を押し上げる要因となっています。
保証やサービスプランの活用
高額な維持費を少しでも抑えるために、各種保証やサービスプランの活用を検討しましょう。どのような選択肢があるのでしょうか。
新車購入時の延長保証や、中古車向けの保証プランなど、様々な選択肢があります。初期費用はかかりますが、長期的には費用を抑えることができる場合があります。
延長保証の検討
メーカー保証の延長や、第三者機関による延長保証の加入を検討しましょう。特に電装系の故障に対応した保証プランは、レンジローバーオーナーには有効です。
メンテナンスパックの利用
ディーラーや専門店が提供するメンテナンスパックを利用することで、定期的なメンテナンス費用を平準化できます。一括払いにより割引が適用される場合もあります。
それでもレンジローバーを選ぶ価値はあるのか
故障リスクを上回る魅力
これまで多くの問題点を挙げてきましたが、それでもレンジローバーを選ぶ人が多いのはなぜでしょうか。故障リスクを上回る魅力があるからです。
レンジローバーには、他の車では味わえない独特の魅力があります。その魅力を理解した上で購入すれば、多少のトラブルがあっても満足度の高いカーライフを送ることができるでしょう。
他では味わえない乗り心地
エアサスペンションによる滑らかな乗り心地と、高い静粛性は他の車では味わえません。オフロード性能と快適性を両立した設計は、レンジローバーならではの特徴です。
ステータス性と所有感
レンジローバーを所有することで得られるステータス性と満足感は、金銭では測れない価値があります。その存在感と品格は、多くの人を魅了し続けています。
購入を決める前のチェックポイント
レンジローバーの購入を検討している方は、以下のポイントを必ずチェックしてください。後悔のない選択をするために重要な項目です。
購入後の現実を十分に理解し、それでも所有したいという強い意志があるかどうかが判断の分かれ目となります。感情的な判断ではなく、冷静な検討が必要です。
維持費を含めた予算計画
購入価格だけでなく、年間100万円以上の維持費を継続的に支払えるかどうかを慎重に検討してください。「レンジローバーを所有するなら、年収2000万円から3000万円は欲しい」という意見もあります。
信頼できるサポート体制の確認
購入前に、信頼できる整備工場やディーラーとの関係を築いておくことが重要です。トラブル時に頼れる相手がいるかどうかで、オーナーライフの質が大きく変わります。
まとめ
レンジローバーは確かに故障しやすい車ですが、適切な知識と準備があれば長く愛用することができます。電装系トラブルや部品供給の遅れといった課題はありますが、定期的なメンテナンスと十分な予算確保により、多くの問題は解決可能です。
年間100万円以上の維持費と突発的なトラブルのリスクを受け入れられるなら、レンジローバーならではの魅力を存分に楽しめるでしょう。購入前には信頼できる整備工場を見つけ、万が一に備えた準備を整えることが成功の鍵となります。